最終更新 2021/12/17
海外で活動していても現地に銀行口座を持てない人は、たいていクレジットカードで支払うでしょう。
では、日本のクレジットカードと、マルチカレンシーカード(revolutカード、ソニーバンクウォレットやワイズ〔旧TransferWise〕カードなど)のどちらが有利でしょうか?
〔お断り〕
1.この記事では、カードの外貨残高への両替コストや入金手数料だけで比較しています。
マルチカレンシーカードはデビットカードなので、クレジットカードと比べキャンセルや不正利用への対応には弱いです。ですからマルチカレンシーカードを利用するときは、安全でキャンセルしない支払いに利用することをすすめます。
2.ここに紹介する以外のマルチカレンシーカードは、両替コストが割高なのですすめません。 ※参考情報→マルチカレンシー口座(とカード)には3種類ある。
キャッシュレス支払いなら、マルチカレンシーカードがお得
結論から言うと、マルチカレンシーカードの残高から支払う方がお得です。ただし、それぞれのカードにはメリットとデメリットがあります。
またマルチカレンシーカードにも種類があるので、それぞれのカードが利用できる通貨、かかる手数料を含めて説明します。
1.クレジットカードでの支払い
【クレジットカード支払いのメリット】
- クレジットカードが利用できる店舗なら、通貨にかかわらずどこの国でも利用できる。
- カード会社が支払能力を保証をするので、ホテルやレンタカーの予約につかえる。
- 支払いのキャンセルが簡単
- 不正利用されたときの対応が簡単(顧客が責任を問われない場合)
- 支払額に応じてポイントが付く。(一般的なカードでは0.5-1%程度)
【クレジットカード支払いのデメリット】
- 合計2.4%程度~2.8%近くの両替コストがかかるので、金額が大きくなると結構な負担になります。
その負担は以下の通りです。
1.両替コスト(事務手数料):2.2%程度(日系カード)~2.4%(外資系カード)
※2021年7月より日系クレジットカードの事務手数料(両替コスト)は、1.63%から2.2%~に改悪されました。→関連情報 Revolutでクレジットカードの両替コスト2.2%を節約する方法
2.隠れた両替コスト:VISA、Masterカードとも0.2%程度(主要国通貨)~0.4%(途上国通貨)ある。
※隠れた両替コストがあることは、VISA、Masterの適用レート計算でbank feeを0にして、両替元通貨と両替先通貨を入れ替えるとわかります。(比較のため一方の通貨を1÷レートで計算してください。)
- 利用した日ではなくカード会社に取引が届いた日の両替レートが適用される。
実際には2,3日~1週間ほど遅れます。またたいていのカードは前もって必要な外貨に両替できません。
〔参考情報〕
日系クレジットカードなら、海外のATMでキャッシングし繰り上げ返済すると両替コストはかかりません。(返済日までの金利負担のみ)
しかし毎回の支払いのために現金を用意して管理するには面倒な手間がかかりますし、現金を持ち歩く危険もあります。くわしい情報はのむてつさんのサイト→海外キャッシング(海外ATM引き出し)のメリット・デメリットをご覧ください。
2.マルチカレンシーカードでの支払い
【マルチカレンシーカードのメリット】
- マルチカレンシー口座を利用できる通貨なら両替コストはゼロ、もしくはクレジットカードの両替コストよりお得です。
- 前もって都合の良い両替レートで両替できる。
【マルチカレンシーカードのデメリット】
- 利用できる通貨が限られる。
利用できる通貨と手数料はカードごとに説明 参考情報→マルチカレンシー口座(とカード)には3種類ある。)
- 支払いキャンセルや不正利用への対応がめんどう
カードで支払うつど外貨残高から引き落とされるためです。ですから信頼できる店舗やキャンセルしない支払いに利用しましょう。
そのほか以下のデメリットがあります。
- revolutカード:前もって必要な額以上を外貨に両替しておく必要がある。(外貨残高に不足があると円残高から全額支払います。)
- ワイズ(旧TransferWise)デビットカード:両替コストや入金する手数料がかかる。
- 入金する銀行のシステムが(トラブル、メンテナンスなどで)止まって残高の追加ができないと、これらのカードでの支払いができない。
これから3つのマルチカレンシーカードについて、メリットとデメリット、利用できる通貨、両替コスト、利用するときに注意したいことについて説明します。
revolutカード
〔メリット〕
- 『両替コストゼロ』+ 前もって外貨に両替できる
月75万円相当額までの両替コストゼロ(一般カード)※プレミアカード(月会費1,000円)なら限度額に制限はありません。
まとまった金額(例:年間授業料など)をカード支払いするとき、日本のクレジットカードと比較して1.6~2.4%の節約額は大きいです。
- 前もって両替できる。
外貨で必要な金額を用意しておくと、その後に為替レートが変動して追加のお金が必要になることがありません。
- 利用できる通貨がけっこう充実
主要国通貨のほかヨーロッパやアジア主要国通貨なら、両替コストゼロです。
〔マルチカレンシー口座を利用できる通貨〕
米ドル、ユーロ、イギリスポンド、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドル、スイスフラン、香港ドル、シンガポールドル、タイバーツ、スウェーデンクローネ、デンマーククローネ、南アフリカ・ランド、アラブ首長国ディルハム、チェコ・コルナ、ポーランド・ズロチ、カタール・リアル、ルーマニア・レイ、新トルコ・リラ、
- 22通貨以外で直接カード支払しても、VISAカードの両替コストゼロのレートが適用されます。
前もって外貨に替えておけませんが、クレジットカード会社の両替コスト(事務手数料1.6%~2.4%)を含まない両替レートで支払うため、クレジットカードで支払うよりおとくです。マレーシアリンギットで利用した例→Revolutのカード支払いとATM利用 の最後『3.22通貨以外でのカード支払い、ATMでの引き出し』で説明しています。
【注意!】
1.利用する通貨のマルチカレンシー口座に必要な外貨残高以上の額を準備してください。不足すると、他に十分な残高のある通貨(円など)から(不足額ではなく)『全額』を引き落とします。※ソニーバンクウォレットやTransferWiseデビットカードは、不足分だけを円などから引き落とせます。※revolutの場合、円残高から直接両替して支払っても両替コストはゼロです。
2.日本など利用する通貨以外で登録したPayPalのみから支払えるときは、外貨残高から引き落とすことはできません。(両替コストが高くなります。→PayPalは両替コストなどが高い!※日本のクレジットカードでポイントを付けるのがお得です。)
- revolut会員あてに、さまざまな通貨を手数料無料で即時送金できる。
銀行口座ない人にも送金できます。(revolutはヨーロッパに会員が多い。)
- 日本のクレジットカード(※注1)やデビットカードからの入金が簡単で、手数料がかからない。
※注1:カード支払いに当てる場合なら、クレジットカードからの入金を受付ます。
TransferWise(入金手数料は顧客負担)と比べて手数料を節約できます。
- 再発行カードを、海外の住所に送付できる。
カードを紛失しても、海外の住所で再発行カードを受け取れます。
※一部のクレジットカードを除きたいていの金融機関は再発行カードを日本の住所に送ります。
- 少額から金、銀などへ投資できる。
簡単に金や銀への投資ができます。(1回の取引限度額は100万円、なお日本ではまだ仮想通貨取引は認められていません。)
デメリット
- TransferWiseと比べて利用できる通貨が少ない。
利用する国や通貨を考慮してふさわしいカードを選んでください。
- 銀行口座あて送金に日数がかかる。
上記通貨さらにそれ以外の通貨でも、多くの国へ銀行口座あて送金ができます。しかし上記以外の国の通貨への両替コストは高く(2%程度)、届くまでの日数もかかります。よって銀行口座あて送金ではTransserWiseが有利です。→マレーシアへ送金した経験 Revolut 日本からの海外送金
- 支払う通貨で残高が不足すると、他の通貨から全額両替して支払います。
前もって支払う全額をふさわしい通貨で預金しておきましょう。銀行デビットカードからの入金は瞬時ですし、手数料もかかりません。※TransferWiseデビットカードやソニーバンクウォレットなら、不足額だけ他の通貨から両替して支払うことができます。
revolutカードのまとめ
銀行口座あて送金はめったにしない、マルチカレンシー口座の通貨でカード支払いしたり会員間送金ががメインなら、revolutカードはお得です。
revolutカードの申込は
→revolut からできます。
〔参考情報〕ヨーロッパに住んだことがないので詳しいことはわかりません。日本からTransferWiseで送金してrevolutで受け取る、それからrevolutを銀行代わりにする記事があります。→revolutはイギリス、ヨーロッパへ短期留学する人におすすめ
ソニーバンクウォレット
ソニー銀行のマルチカレンシーデビットカードです。→関連情報 ソニーバンクウォレットは10ケ国で最強のデビットカード
メリット
利用できる通貨は限られますが、以下のメリットがあります。
- 外貨への両替コスト安い。(TansferWiseデビットカードより有利)
〔利用できる通貨と1通貨当たりの外貨への両替コスト〕
米ドル0.15円、ユーロ0.15円、英ポンド0.45円、豪ドル0.45円、NZドル0.45円、カナダドル0.45円、スイスフラン0.45円、香港ドル0.09円、南アランド0.2円、スウェーデンクローナ0.09円
※詳しくは→ソニー銀行 為替レートをご覧ください。
デメリット
- 利用できる通貨が限られる。
ソニーバンクウォレットのまとめ+α
利用できる通貨は限られますが、海外で活動するとき便利なカードです。
以下は参考まで
- 不正利用されたときの損害をおさえるため、当面の必要額以外は1ヶ月外貨定期預金などにしておきしょう。(多額の残高を外貨普通預金口座に置かない。)
- 海外のレジで支払うときは、 Debitではなく、Creditを選ぶ。→ソニー銀行公式ブログ Sony Bank WALLET レジでの注意点
- 100万円をこえる金額を日本⇔海外で送金したいときは、ソニー銀行がお得です。→日本からの海外送金に利用したいソニー銀行
〔参考情報〕
1.口座開設して翌月末に30万円以上の残高を維持できる人は、ソニー銀行から3,000円をもらえます。→ ご家族・ご友人 紹介プログラム
お知り合いがいないなら、わたしが紹介することができます。
kazubo1☆★gmail.comまで
・メール名 『ソニー銀行紹介希望』
・姓と名前
・メールアドレス
を送ってください。※☆★を@に替えてください。ソニーバンクウォレットやrevolutカードを使うとき、入金する銀行として利用しても良いでしょう。
ワイズ(旧TransferWise)デビットカード
メリット
- おどろくほどさまざまな通貨で利用できるマルチカレンシーカードです。
- 一部の国では、現地国で銀行口座と同等のサービスを受けることができます。
※太字の国は、revolutやソニーバンクウォレットでは利用できない国や通貨です。
〔マルチカレンシーカード+現地国の銀行口座同様のサービスが利用できる国〕
アメリカ、イギリス、ユーロ圏、オーストラリア、ニュージーランド、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、シンガポール、トルコ
くわしくは→ワイズ(旧TransferWise) 資金を受け取る の「銀行口座情報を利用する」に説明があります。
デメリット
- (クレジットカードで支払うときの両替コストよりはお得ですが)両替コスト、入金手数料がかかる。両替コストと手数料については、ワイズ(旧TransferWise)のサイト で前もって調べることができます。※一例:円残高から米ドルマルチカレンシー口座へ入金するときに0.6%程度の手数料がかかります。
マルチカレンシー口座、残高を追加する、両替する通貨と金額、TransferWiseへの入金方法(銀行振込のほうが安い)を選んでください。
〔マルチカレンシーカードを利用できる国〕
※太字の国は、revolutやソニーバンクウォレットでは利用できない国や通貨です。
〔アジア〕
韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、アラブ首長国、イスラエル、インド、インドネシア、スリランカ、ネパール、バングラディシュ、フィリピン、ベトナム、香港、中国、
〔南北アメリカ〕
カナダ、アルゼンチン、ウルグアイ、コスタリカ、ペルー、メキシコ、
〔ヨーロッパ〕
スイス、ウクライナ、グルジア、クロアチア、スウェーデン、チェコ、デンマーク、ノルウェー、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、ロシア、
〔アフリカ〕
ウガンダ、エジプト、ガーナ、ケニア、ザンビア、タンザニア、ナイジェリア、モロッコ、CFAフラン流通国、南アフリカ
両替コストが負担にならない金額、revolutカード(両替コスト0%)やソニーバンクウォレット(0.15%程度~)で対応できない国の通貨に利用しましょう。
TransferWiseの口座開設は
→ワイズ(旧TransferWise)から申し込むことができます。
海外でカード支払いするときは、利用する通貨や利用目的に合わせてふさわしいカードを選びましょう。
以上です。
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